1. このマニュアルについて

1.1. 扱う範囲

このマニュアルでは、Debian ディストリビューションのポリシー (方針)、すなわち Debian に要求されるいくつかの必要条件について説明します。このポリシーには、Debian アーカイブの構成と内容、オペレーティングシステムとしての Debian の設計に関するいくつかの事項に加えて、それぞれのパッケージがディストリビューションに受け入れられるために満たさなければならない技術的な必要条件も含まれます。

このマニュアルは Debian パッケージ作成に沿った形で Debian ポリシーを記載していますが、これはパッケージ作成手順を記載した手引きではなく、パッケージングシステムの挙動について網羅的に記載したものでもありません。このマニュアルは、そのような手引きというよりは、開発者が精通しておく必要のあるパッケージ管理システムとのインターフェースを規定することをねらったものです。1

This manual cannot and does not prohibit every possible bug or undesirable behaviour. The fact that something is not forbidden by Debian policy does not mean that it is not a bug, let alone that it is desirable. Questions not covered by policy should be evaluated on their merits.

このマニュアル中の脚注は単に説明のためのものであり、Debian ポリシーの一部ではありません。

このマニュアルの付録部分は必ずしも規範に沿ってはいません。詳細は Introduction and scope of these appendices を参照ください。

このマニュアルの規範に従ってかかれている部分では しなければならないすべきであるしてもよい という語、および 必要な推奨されたオプションとして という形容詞はこのポリシー文書中の様々なガイドラインの重要度を示すために使われています。しなければならない とされた、または 必要な とされたガイドラインに従っていないパッケージは一般的に Debian ディストリビューションに受け入れて配布することはできないと判断されます。一方、すべきである または 推奨された ガイドラインへの不適合は通常はバグと見なされますが、ディストリビューションとして配布不適合とまではされません。してもよい または オプションとして となっているガイドラインは本当にオプションであり、ガイドラインに従うかどうかはメンテナの判断に任されています。

この分類は大雑把に言って、バグ分類の serious (しなければならない必要な の部分に違反)、minornormalimportant (すべきである または 推奨された の部分に違反)、wishlist*(*オプションとして の類) に相当しています。2

このマニュアルに載っている情報の多くは、Debian アーカイブへの収録以外の方法で配布するような、あるいはお手元で使うだけで配布はしないといったパッケージを作成する際にも役に立つでしょう。

udebs (Debian インストーラで用いる機能限定版のバイナリパッケージ) は、以下で説明されている要求事項に必ずしも従っていません。詳細は`Debian Installer internals manual <https://d-i.debian.org/doc/internals/ch03.html>`_ を参照してください。

1.2. この文書の新しい版

This manual is distributed via the Debian package debian-policy.

The current version of this document is also available from the Debian web mirrors at https://www.debian.org/doc/debian-policy/. Also available from the same directory are several other formats: policy.epub, policy.txt and policy.pdf. Included in both the same directory and in the debian-policy package is a standalone copy of Upgrading checklist, which indicates policy changes between versions of this document.

1.3. 作者とメンテナ

1.3.1. Early history

この文書は、最初は "Debian GNU/Linux Policy Manual" という名で1996年に Ian Jackson さんにより書かれました。最初の改訂は1996年11月27日に David A. Morris さんによるもので、Christian Schwarz さんが1997年3月15日に新たな章を加え、1997年の 4 月から 7 月にかけて、手を入れてまとめ直しました。Christoph Lameter さんが "Web Standard" の部分を作成しました。Julian Gilbey さんが 2001 年に大幅な整理を行ないました。1998年9月以降は、この文書の内容は debian-policy メーリングリスト での共同作業に移りました。

1.3.2. 現在のプロセス

The Policy Editors are DPL delegates with responsibility for the contents of this document (see the Debian Constitution for the meaning of "DPL delegate"). However, the Policy Editors further delegate their editorial power to a process of establishing project member consensus on the debian-policy mailing list, as described in Debian Policy changes process. The current Policy Editors are:

  1. Russ Allbery

  2. Sean Whitton

1.3.3. Improvements

この文書の筆者たちは、誤植その他のいかなる誤りも入れないようできる限り努力はしましたが、それでも間違いは生じます。もしこの文書の内容に誤りを見つけたり、何らかの意見や提案、批評を私たちに伝えたいという場合には、Debian ポリシーメーリングリスト debian-policy@lists.debian.org まで電子メールをお送り頂くか、debian-policy パッケージに対してバグ報告を出して頂けると幸いです。

ポリシーの変更に関しては、直接著者やポリシーマニュアルのメンテナに連絡しないでください。

New techniques and functionality are generally implemented in the Debian archive (long) before they are detailed in this document. This is not considered to be a problem: there is a consensus in the Debian Project that the task of keeping this document up-to-date should never block making improvements to Debian. Nevertheless, it is better to submit patches to this document sooner rather than later. This reduces the amount of work that is needed on the part of others to get themselves up-to-speed on new best practices.

1.5. 用語

以下の単語がこのポリシーマニュアルで使用されています:

ASCII

ANSI X3.4-1986 およびその先行する標準で規定された文字エンコーディングであり、MIME では US-ASCII として参照され、一文字を 8 ビット (列) で表現するエンコーディングである。 Unicode の最初の 128 文字 (8 ビット目は常に 0) に一致します。

UTF-8

Unicode の転送形式 (エンコーディングと呼ばれることもあります) で、RFC 3629 で定義されています。UTF-8 は ASCII をサブセットとして含むという役に立つ性質を持っているため、ASCII エンコードされたテキストは自動的に有効な UTF-8 テキストにもなります。

1

非公式には、ここに収録される内容の選択基準は、次のどちらかに属していることです:

標準インターフェース

記載された内容がパッケージングシステムのインターフェースとして使うべきものであり、実際に多数のパッケージで使われており、従って綿密なレビューなしには変更するべきでないようなものである場合です。そのような場合にはパッケージメンテナはインターフェースがころころ変わらないことを期待できますし、パッケージ管理ソフトウェアの作者はそのインターフェース定義への互換性を確認するだけですみます(コントロールファイルや changelog ファイル形式がその一例です)。

選ばれた取り決め

技術的には取り得る選択肢はいくつかありますが、相互互換性のためそのうちの一つを選ばなければならない場合です。バージョン番号の形式などがその例です。

これらが相互に排他なものではないことに注意してください。選ばれた取り決めが標準インターフェースになることはしばしばあります。

1.6. Translations

When translations of this document into languages other than English disagree with the English text, the English text takes precedence.

2

RFC 2119 参照。但し、これらの単語は本文中で違ったやり方で使われています。